良き仲間、ライバルたちに愛された天才棋士村山聖に思いを馳せて

有名人・著名人の占例

うちの息子が将棋をやるもので、私もプロ棋士の先生方のことに少しばかり詳しくなり、息子の将棋大会にくっついて行っては、ゲストでいらしている有名な先生方を生で間近で見られる機会があるとすごく嬉しかったりするミーハーな母です。

そして、すでにもう今から18年前にその才能を多くの人から惜しまれながら29歳の若さで夭折された将棋界の天才棋士、村山聖(むらやまさとし)さんという方がいらっしゃいました。

将棋界で「東の羽生、西の村山」と並び称され、今もなお語り継がれる伝説の天才棋士です。

小説「聖の青春」には、その短くも熱い疾風のような鮮烈な生き様が描かれ、多くの人の心を惹きつけてやみません。

今までにドラマ化もされ、嬉しいことに♪今秋に公開される映画では私の大好きな俳優さんの一人、松山ケンイチさんが主演されます。

私も前に漫画の「聖 -天才・羽生が恐れた男-全9巻」をドスンと大人買いして、息子と争うように貪り読んだものです。

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彼の出生時刻が確認できるので、四柱推命の命式を出して見てみました。
村山聖さんはこんな命式。

年 己酉
月 庚午
日 辛酉
時 乙未

点数計算をすると、比劫がダントツに強く、天干に官殺は表れてないので、身強の従旺格となります。

ですので、従旺格となりますと、比劫と印が喜神になります。

ここ、とっても大切です。

ちゃんと格局が判別できないと、喜神か忌神か?が分からないのです。

彼の月干にある強い劫財は喜神ですので、比劫・劫財の持つ長所が表れる人となります。

たまに喜忌なんかはマル無視で、「月干が劫財の人は財に恵まれない、親からお金がもらえない……」のように誤解では?と思われるようなことを思いこんで鑑定に見えるお客様がいたりするのですが……、こんなのは全然違います……。

喜神だと劫財は悪者ではありません。

劫財が喜神の場合だと「目が利く、先を読む見通しの良さ」となり、先見の明があります。
忌財を叩くので、喜神の劫財が強いと財運の強いタイプの人もいます。

喜神の劫財が強い村山さんは「先の先の又その先の何手も先を読み抜く力」となり将棋に力を発揮されたのだと思われます。

また喜神の比劫は、「自分の思ったことを自分の力で道を切り開き、一生懸命に努力してやり遂げて行く力」という性質を持ちます。

ですので、中学生の時に家族親戚中から大反対にあっても「絶対に名人になるんじゃ! 今しかないんじゃ!」と、強い意志とあくなき向上心を持ってプロ棋士への道を進んで行ったのでしょう。

また、天干には喜印の己があり、地支に通根しています。

印には先生、師匠と言う意味があり、喜印ですので、良き師匠にも恵まれているということも見えてきます。

そのお陰かまるで親子?というような深い師弟愛で結ばれた師匠の森信雄先生との出会いに恵まれ、喜印の満12歳の大運から破竹の勢いで瞬く間にトップのA級棋士の座へ駆け上って行った輝ける良き時代を迎えているのが分かります。

また喜神の比劫は協調性や友達・仲間を表します。

ですので、天干に比劫を持つ人は仲間に恵まれ仲良く力を合わせられるという所を持ちます。
村山さんは劫財が天干に並び強いです。

天干に表れてる比劫は協力し合える良き仲間です。

また比劫には「体育会系・体力」といった意味合いもありますので、喜神で強い場合は元気さという印象になって表れてくるでしょう。

実際に村山さんは病弱ではありましたが、その風貌は?というと、ひ弱で貧相とは正反対の印象で、40度を超えるような高熱を出しながらも、順位戦の対局に這ってでも行っていたような底知れぬエネルギーの持ち主でした。
強い気力とパワーがないとできることではありません。

ですので、協調性があり良い仲間がいて、元気な体育会系キャラなわけなので、喜神の比劫が旺盛な人は、ちょうどごくせんのヤンクミ先生のような「おまえら、あの夕日に向かって走るぞ~!」みたいな人が多いかなと思います。

というわけで、村山さんは技を磨きあう良き友にも恵まれ、その中で切磋琢磨してもともとの才能と合わせてどんどん伸びて行かれたのでしょうね。

しかし、天干に出ている日主の辛と月干の庚の関係を見てみますと、これは日主の辛金、繊細な宝石の村山さんが、月干の庚金の大きく強い鉄の原石から打ち叩かれている様子が見えます。

村山さん自身も喜神の比劫も強く喜印の後押しもありとても強い棋士です。

でもそれでもこれは、羽生善治さんをはじめとした居並ぶ天才棋士の仲間であるライバルらにはどうしても勝てない、必ず自分よりも強い仲間が立ち塞がる、そんな力関係の様子の表れなのです。

(村山さんが活躍したあの時代は、キラ星のごとく才能溢れる若手の天才棋士が続々と誕生して、それまでの将棋界の勢力図を一変させ、華々しい活躍をしていましたね~)

実際にタイトルホルダーとなる望みはついには叶いませんでしたが、でも村山さんの劫財は喜神ですので、そのような自分の願いを阻む目の上のタンコブみたいなライバルのことも、敵視したり憎んだり妬んだり足を引っ張ったりするのではなく、自分を成長させてくれる良き盟友として関係を育んでいける人であったということも分かります。

実際に小説や漫画を読むと、プロ棋士のライバルたちは共に戦う相手ではありますが、純心な憧れや追いつき追い越す目標の相手として常に礼節をもって尊敬し、お互いに固い信頼と友情で結ばれていた様子が描かれています。

そう、道場などに通う将棋少年たちは必ず指導者から「勝っても負けても、相手には礼を持って接しなさい」と徹底的に教えられますし。

トップに君臨するアスリートの方でもそうですが、武道でもどの分野でも、その道の第一人者というのは、脅威を感じるようなすごい強敵、ライバルほど、その素晴らしさはしっかりリスペクトしていますよね。

だからこそ、将棋ファンを惹きつけてやまない後世に語り継がれるような名勝負の数々も生み出されていったのでしょう。

実際に息子に指導対局をして下さった羽生善治さんや佐藤康光さんたちは、間近で見ていてそれはもう凜とした中にも穏やかでどこか温かい品の良い貴公子と呼ぶのにふさわしい風格が漂うのに圧倒されました。

またこの命式の場合だと、決して勝つことができない友でありライバルの庚が、時干の忌財の乙を合して弱めています。

忌財は面倒くさがりや怠け心に口の悪さなどを表します。

なので、このとんでもなく強く勝つことができない盟友らの存在のお陰で、村山さん自身の面倒臭がりや慢心して楽して天狗になるような所を引っ込めざるをえなくなり、背筋をピンと正すような面持ちで益々熱心に将棋に打ち込んで行く様子が見えてきます。

また喜印の場合だと、頭脳明晰で学力に優れるということの他に、
人に力を貸してもらうのが上手→周囲の人もなぜか進んで応援したくなる→人気に恵まれやすくなる、可愛がられる「愛されキャラ」となり慕われる、
というようなところのある人となります。

実際に師匠にもとても可愛がられ、笑って、怒って、泣いて、ケンカして、仲直りして……と、人間味溢れる明るいキャラクターで棋士仲間たちからも慕われていたようです。

そして今もなお、ファンたちから根強い人気があるのは、この喜印のせいでしょうか。

それにしても、何よりも良き友、仲間に恵まれている人はやはり強いですね。

比劫が強く喜神で、同じく喜神の印を持っているということと、日主と比劫の辛金と庚金と忌財の乙木の干関係のみという四柱推命の基礎の基礎を踏まえて命式を読み解くだけで、村山さんのこんな熱い情熱と良き仲間、良きライバル、良き師匠に恵まれ、多くの人から愛される人物像が浮かび上がってきます。

「どうしてあんな病弱に生まれついてあんな早くにあの時のあの年齢で亡くなったのか? 一体何のカルマが……」などに関しては、それは命術で出た結果を読み解こうと思えばできなくはないです。

でも、そんなものはどうでもいいんです。

まるで興味が行かないので見たくありません。

こんな類稀な才能と情熱を持って、多くの人たちに愛され、短くも熱い一生を駆け抜けて行った記憶に残り続ける天才棋士の鮮やかな姿だけをいつまでも追ってとどめていたい。

それ以外に一体何がいるの?

村山聖さんのこの命式を見ると、そんな思いが溢れてきます。